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緩くいこうぜ、人生長いんだ。

お前の人生ようやく始まったようなもんじゃん。

【感想】アフターダーク / 村上春樹

今回の感想は、村上春樹さんの小説「アフターダーク」だ。

これを選んだ理由は、書店の本棚を眺めている時に見つけて、「アジカンアフターダークって良い曲だよな」と思ったからだ。

ちなみに、曲と小説は何も関係がないらしい。

 

 

物語は、女子高生のマリが深夜のファミレスで本を読んでいる所から始まる。

そこに姉であるエリの友人だという高橋という男が現れる。

その出会いから、マリは深夜の住人達と関わりを持つことになる。

表舞台には出てこない個性的な人達に接することで、マリは少しずつ新しい何かを学んでいく。

 

 

本作のテーマは、「過去」だ。

登場する人物は、皆それぞれに過去の問題や思いを持っている。

そのような過去に対してどのように向き合い生きていくかということが、本作では述べられている。

 

作中にこのような文がある。

「逃げ切れない」と高橋は、その三日月を見上げながら声に出してみる。

(中略)

そのメッセージはほかの誰かにではなく、彼個人に向けられたものであるように思えてくる。

 この文が出る前に、高橋は自分の過去をマリに語っている。

また、他の登場人物も自分の過去を語っている。

 

人は誰しもそれぞれの過去を持っている。

中には、逃げ出したいほど嫌なものや、忘れたい程酷いものもある。

しかし、過去は厳然とそこに存在する。

どれだけ逃げても、逃げ切ることは出来ない。

起こってしまったことは仕方がないし、その責任はきちんと背負わなければならない。

だからこそ、それを人と共有したり、自分で受け止めたりして生きる糧にしていくしかない。

そんな風に生きる人たちの姿が、本作では描かれている。

 

 

本作のタイトルは「アフターダーク」で、舞台は深夜だ。

つまり、本作は夜明けの物語だ。

既に起こった過去を受け入れ、また次の一日を生きていく。

そんな暗さと明るさを兼ね備えた、生きていく意思に満ちた物語だ。

アフターダーク (講談社文庫)

アフターダーク (講談社文庫)