緩くいこうぜ、人生長いんだ。

お前の人生ようやく始まったようなもんじゃん。

【感想】コンビニ人間 / 村田沙耶香

5/50

 

芥川賞を受賞した昨年の話題作。

ようやく手に取って読む気になりました。

量がとても少ないため、2時間程度でサクッと読み終わりました。

 

 

主人公の古倉恵子は、小鳥が死んでいても可哀想だと思わず、焼き鳥に出来るからもっと殺そう、と言う位、幼少期から周囲と大分ズレた子でした。

それは大人になってからも変わらず、社会の常識を理解出来ないまま。

そんな彼女の職業はコンビニのアルバイト。

コンビニ店員という役割を演じていれば、その役に染まって他の人と同じように過ごす事が出来るからです。

コンビニで仕事をし、コンビニの為に生きる。

そんな生活を18年間続けてきた彼女と、それを良しとしない周囲との軋轢を通じて「社会と居場所」を描いた作品です。

 

 

一言で感想を言うと、「気持ち悪い」です。

普通の人とズレた視点で生き、社会の一員であるために18年間コンビニでアルバイトをする恵子も、自分が何もしないのが悪いのにそれを社会のせいにして、それでいて社会との繋がりを断ち切れないヒモ野郎も、恵子の内心も知らずに表面的な部分だけで自分の価値観を押し付ける周囲の人間も、全部気持ち悪いです。

 

 

何故それらを気持ち悪いと思うか。

それはきっと、自分の姿をまざまざと見せつけられているからだと思います。

恵子は、18年間コンビニでアルバイトをしていて、結婚もしていなければ正社員でも無いです。

そんな人って、社会一般的に見れば正直終わってますよね?

結婚するなり、定職に就いているべきですよね?

でも、そう判断しているのは「社会」という作られた枠組の中で生きている普通の人達(私達)なのです。

そういう人達は普段、無意識の内に「社会」という枠組みに照らし合わせて物事を判断しています。

それは、「社会」という枠組の中で生きていれば害を受けないからです。

逆に言えば、普通の人達は「社会」の中で、その役割を演じることで生きているのです。

「社会」とは、自らの身の安全を保障する居場所なのです。

そんな人達は、枠組から外れた人に対して、自分達の枠組の常識を押し付け矯正しようとするか、枠から排除しようとします。

恵子は、結婚もせず、定職にも就かずにコンビニでアルバイトを続ける彼女は「社会」から外れた存在です。

だから、周囲の人達は自らの枠から外れた彼女に対して矯正か排除をしようと、結婚を勧めたり、避けようとしたりするのです。

 

きっと私も、普段同じようなことを無意識にやっているのだと思います。

自分の常識に照らし合わせて他人を判断し、干渉する。

そんな構図を、客観的にまざまざと見せつけられるのが、気持ち悪さの原因なのだと思います。

 

 

「社会」が居場所でない恵子にとっての居場所は、コンビニです。

コンビニという創られた空間の中で、マニュアルに従って仕事をするコンビニ店員という形でならば、「社会」の一員でいる事が出来るからです。

それは、「社会」の人達から見れば異常でしょう。

だけどそれは、「社会」という創られた空間の中で、常識に従って生きる現代人という形でならば、「社会」の一員でいる事が出来る私達と、何が違うと言うのでしょうか。

 

そんなことを問いかけているような作品です。

コンビニ人間

コンビニ人間