緩くいこうぜ、人生長いんだ。

世の中どうでも良いことばかりだよ

【感想】四畳半神話大系/森見登美彦

もう何度読んだか分からない私の大好きな小説。

ちょうど今、「夜は短し歩けよ乙女」のアニメ映画公開決定記念でアニメ版の再放送をしていますね。

やっぱりアニメも小説も面白いです。

 

あり得べき薔薇色のキャンパスライフを夢見ながらも何も変えることが出来ず、漫然と同じ日々を繰り返し、二年間の大学生活を無駄に過ごしてきたことを悔やむ「私」が、何をやっても何者にもなれない自分と向き合う物語。

 

個性的なキャラクター、言い回し、京都の街並みなど、沢山の魅力的な要素の中で私が何よりも好きなのが、作品に込められたメッセージ。

つまり、

今の自分以外何者にもなれない

ということです。

 

作中屈指の名言と言われている以下のセリフが、その全てを物語っています。

貴君、可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である。

 

過去にこうしていれば良かった、ああしていれば良かった。

これからこうなるかもしれない、こうなりたい。

あり得たはずの現在や、これからあり得るはずの未来を想像して、現在への不満のはけ口とする。

そういう行為は良くありますが、それは実際には無駄なこと。

結局の所、自分は自分でしかなく、自分に出来ることなんてたかが知れている。

自分がやってきたことが自分で、自分が出来ることがこれからの自分を作っていくだけなのです。

 

きっと、世のポジティブ人間達は「そんなことはない!夢を見れば誰でも何にでもなれる!」とか言うでしょうね。

それはそれで間違った考えではないと思います。

でも、今の自分を認めずに言うことと、今の自分を認めた上で言うことは違うと思うのです。

前者は夢追い、後者は挑戦です。

 

今ここにいる私こそが現在。

転々流転する私こそが現在。

そして、そうして生きてきて、そうやって生きていく今こここそが、現在。

まずはそれを認めようということです。

 

四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)