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緩くいこうぜ、人生長いんだ。

お前の人生ようやく始まったようなもんじゃん。

【感想】日本仏教史-思想史としてのアプローチ/末木文美士

日本の仏教史について、思想というアプローチから解説した本。

 

「思想というアプローチから」とはどういう意味かと言うと、ただ「6世紀前半に仏教が伝来して…」と史実を述べるのではなく、その裏にある当時の人の思想を見るということ。

例えば、上の例で言えば、「仏教が伝来した時、古来の神の一種として見做されていたが、戒律などの制度面が優れていたため、律令国家の礎となった」といった具合。

そんな調子で、様々な文献を参照しながら、細かく、でも分かりやすく日本の仏教が解説されています。

 

本書を読んで一番に思ったことは、日本の仏教は異様だということ。

そして、日本人はカスタマイズが好きだということ。

 

原始仏教は、極端に言えば「渇愛を滅して解脱せよ」と言っているだけでとてもシンプルなものです。

にも関わらず、日本の仏教では、やれ「宇宙の真理は大日如来でそれは我々の身の周りに常にいるがその真理は秘められている」だの「念仏を唱えれば極楽に行ける」だの、色々な教え、宗派に別れていて、原始仏教の影も形もありません。

キリスト教でもイスラム教でも宗派というものはあると思いますが、日本の仏教程多様なものはないのではないでしょうか。

 

これは、日本人が仏教を自分達の時代背景や政治思想に合わせてカスタマイズしていったから。

末法の世になれば集勢を救うために念仏を唱えればオッケー位のものを作り、それが行き過ぎればやっぱり修行は必要だとか言い始める。

そんな風に、自分達の都合に合わせてカスタマイズを繰り返していった結果、様々な宗派が生まれ、多様なものになったのだと思います。

一方で、だからこそ「仏教は難しい」という印象を一般の人に与えてしまっているのだと思います。

 

カスタマイズ好きというのは現代でもそうですね。

システムもイベントも、何でも取り入れてカスタマイズする。

それは日本人の一種のお家芸なのかもしれません。

 

 

この本は、あくまで日本人がどう考えて仏教をカスタマイズしていったのかが解説されていまて、各宗派の教えについてはそれ程細かく載っていません。

なので、本書を読み終わっても各宗派の特徴や教えを理解出来るということはありません。

また、日本の仏教史を全て理解する事も出来ません。

 

ただ、日本人がどういう考えでもって仏教をカスタマイズして、今の姿に行き着いたのか、その流れを知り、私達の身近にある仏教について気付くきっかけとなる本です。

 

 

大学受験で日本史専攻だったにも関わらず一切覚えていない私にとっては、仏教という視点から日本史を学び直す良い機会となりました。

日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)

日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)